コピックのすすめ

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コピック・失敗しないための基礎知識・実践編 その2

はじめに

 

以前の記事

 

コピック・失敗しないための基礎知識・実践編 - コピックのすすめ

 

 

ではブログでは、なるべくムラがない仕上がりにするためにはどうすればいいか、ということを、「コピックは染める画材」という特徴を絡めて説明してみました。

 

今回はコピックのもう1つの特徴「乗算」について解説します。

 

 

 

乗算は「押し込む」?

 

コピックは乗算、つまり塗り重ねることによって混色ができるのですが、この混色には注意点があります。

 

混色のパターンを下に2つ示しします。

 

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どちらも同じ色(R32とB32)を使った混色なのですが、色味が違うのがわかりますか?

 

 

これは塗り重ねる色の順番をそれぞれ入れ替えて塗りました。

 

順番が変わるだけでこのように仕上がる雰囲気が変わります。

 

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1色目は最初に入れた色、2色目は1色目の上から入れた色です。

 

同じ色同士を混ぜたはずなのに、なんでこんな違いが出てしまったのでしょうか。

 

コピックで塗り重ねると具体的にどんな状態になっているのかって想像しずらいですよね。

 

なので、まずそのあたりから図解してみましょう。

 

今回のブログの記事作成に当たり、先だってツイッターで図を用いて重ね塗りの解説を試みてみました。 その連続ツイートを以下に張り付けさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

ツイッターでは字数の関係で説明が希薄なので、ここからは画像を貼りつつ詳しめに解説していこうと思います。

 

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コピックは染める画材と以前お伝えしましたが、コピックはブラシを紙にくっつけて動かすと、染料と呼ばれる色の材料が溶けたアルコールインクが紙に染み込み、紙と合わさることで色が出ます。

 

図ではR32 を紙に入れた状態の画像と、紙の断面を図解したものです。

 

 

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1色目を入れてすぐに、今度は2色目をいれます。するとどういったことが起きるのか。

 

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2色目を入れる時、紙には1色目のインクが陣取っていて2色目が入るスペースがないため、2色目が1色目を押しのける形で色が入ります。

 

何故そう言えるのかと言うと、2色目を入れたあとに紙を裏返して見ればわかります。

 

f:id:yousko:20190520100151j:imageこれが表です。2色目を入れた後なので、B32の青みがかった感じに見えますね。

 

 

f:id:yousko:20190520100344j:imageこれが裏です。 表とは違って赤みが強く出ています。 2色目に押しやられて裏の方に赤みがが出ています。

 

これが「色が押しのけられた」と説明できる理由になります。完全に混ざっているなら、裏側も同じ色になっていないとおかしいですからね。

 

(余談ですが、コピック絵描きさんのイラストは、もし裏も見れるなら見ているといいかと思います。どの部分にどれくらい色をどの順番で入れたのかが想像しやすくなります。)

 

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そしてそれを表面から見ると、2色目の染料の隙間から1色目の染料が見え、結果として混ざった色として見える、これがコピックの色の混色、重ね塗りの仕組みになります。

 

紙の中にインクを入れる、染み込ませると言うのがコピックの考え方なのですが、この考え方が乗算にも影響を与えています。

 

塗り重ねるとき「1度目に塗った色を、2度目以降塗る色で押し込んでいる」わけです。

 

最初に貼り付けた画像も

 

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1色目に塗った色が2色目に押しのけられた結果、表面に2色目の色味が強く残った

 

と言うことになります。

 

 

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2色目が1色目を押し込む

 

コピックの混色の仕組みとしてぜひ覚えておいてください。

 

 

 

混色できない?

 

コピックの塗り重ね・混色のしくみを説明させていただきました。

 

先ほど重ね塗り混色をしたのはR32とB32でした。

 

絵具でも「赤と青を足すと紫になる」と言われるくらい定番の色の組み合わせであり、混色してみるとたしかに紫に見えます。

 

先ほどは色の番号的に薄い色を用いた混色でしたが、では、今度はR37とB37という先ほどより濃い色を使ってやってみましょう。

 

果たして、これが「濃い紫」になるのでしょうか?

 

 

仕上がりが真っ黒になってしまいました。とても紫には見えません。

 

先ほどと同じように図解してみましょう。

 

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まず1色目としてR37を入れてみました。

 

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そして2色目。1色目の押し込みが起きます。

 

 

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2色目を入れた後が図の状態です。

 

前章での図解に比べて、図で示した染料の粒が多いですよね。

 

実はこれわざと多めに描いたのですが、これには理由があります。

 

その理由を説明する前に、以下に、コピック公式キャラクターのトウマくんのつぶやきと公式ページを引用させていただきます。

 

 

 

【引用 コピック応援キャラ コピックツインズ(トウコ&トウマ)】 

twitter.com

  

明度(Intensity Value)について

B04 TahitianBlue

ニュートラルグレイの00,0,1~10の階調(薄い〜濃い)の12段階を基準に、
一つの色系統を、000,00,0,1〜9までの階調(薄い〜濃い)の12段階に分類しています。
つまり、N10と明度の末尾9が対応しています。
また、Y、YGについては、高明度高彩度であるが故に他の色相数値とは違っているため、同じ数字でも一段薄くなっています。
※本来は「明るい〜暗い」ですが、感覚的な分かりやすさを優先しているため、
「薄い〜濃い」という表現を使っています。

COOL GREY Vlolet

 

(引用元 コピック>カラーシステムについて https://copic.jp/about/color_system/ )

 

 

実はコピックは色の番号、特に一の位の数字が明度、コピックにおいては色の濃さを表していて、この数字が大きくなるほど

 

染料の濃度が濃く 、暗い色になっていきます。

 

R37もB37も、10段階の表示でいえばかなり後半のであり、8の濃さの色なので、含まれている染料の濃度が高い色になります。

 

そこで先ほどの図に戻ってみましょう。

 

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2色とも染料の濃い色であるがために、図のようにコピックにおける混色(隙間から下の色が見える)がうまく機能していない状態となっています。

 

 

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表面から見たらこのように真っ黒になりました。

 

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裏面から見ると赤はしっかり押し込まれています。

 

 

 

 

 

 

厳密に言うと今回の組み合わせでは「成立している故に黒く見える」わけですが、あまりにも密度が詰まりすぎていて目に見える混色は成立していないとお考えください。

 

 

なるべく薄めの色同士で混色をする

 

発売していない色を作り出す混色のテクニックとしてぜひ覚えておいてください。

 

 

まとめ

 

今回は、コピックの重ね塗り・混色に関して、「押し込む」という言葉を使って説明させていただきました。

 

デジタルだと、塗り重ねる順番が変わっても同じ色の結果が得られますが、コピックだと全然違うというのがお分かり頂けたでしょうか。

 

コピックの重ね塗りは、2色目が1色目を押し込む

・混色は色番号一の位が小さい数字のものの方が上手くいきやすい

 

この2点をぜひ覚えておいてください。

 

 

おまけ

 

実は混色に適したコピックの薄めの色を集めたセットが、Tooさんから発売されています。

もしまだ一本も持っていないという人は手にしてもらうのもいいですし、このセットの色は持ってるけど「このセットされた色は混色しやすいんだ」っていう知識としてもプラスになると思いますので、セットの色の内容だけでもご覧いただければと思います。

今回のブログで説明させていただいた、一の位の数字が小さいものが集められています。

 

・Too コピック スケッチ コミックイラスト 24色セット

Too コピック スケッチ コミックイラスト 24色セット

Too コピック スケッチ コミックイラスト 24色セット

 

 

・Too コピック チャオ スタート 12色セット 

Too コピック チャオ スタート 12色セット

Too コピック チャオ スタート 12色セット

 

 

こちらの12色のセットには、対応する解説本があります。イラストレーター・ばびりぃさんが手掛けられた、ものすごくベーシックで、はじめてコピックに触れる方にとっても、とてもわかりやすく解説してくださってますので、合わせて手に取ってみてください。

 

・12色でスタート! はじめてのコピックイラスト

12色でスタート!  はじめてのコピックイラスト

12色でスタート! はじめてのコピックイラスト