コピック・失敗しないしないコツをつかむための基礎知識
はじめに
今回はコピックを使う上で、なるべく失敗しない、うまく使うコツのための基礎知識を書いていこうと思います。
コピックを扱う上でどうしても難しいと感じてしまう理由に、
ムラが出来て色が上手く塗れない
というものがあると思います。
(こういう筆の跡がくっきり残ってしまうのが、ムラがある状態)
僕自身もやり始めた当初、「なんでみんなこんなに上手く塗れるんだ、、、」
と膝をつくことがよくありました。
なるべく右の丸の中のような感じに、綺麗に塗りたいですよね。
また
塗り重ねたら変な色になってしまった
という事も。。。
今回はコピックを使って描く上で知っておくべきコピックの性質について書きます。
コピックを扱う上で本当に重要な知識なので、ぜひこれを機に知っていただけたらなと思います。
コピックの性質
- 【性質その1】
結構大事なことを言います。
コピックは塗る画材ではありません、
紙を染める画材です。
コピックをお持ちの方は中のインクをご覧になられたことはありますか?
コピックには詰め替えのための、ボトルに入ったバリオスインクというものがあります。
それを見ていただくとわかるのですが、色の付いた半透明な液体です。
濃い色ほど透明感は無くなっていきますが、薄い色ほどかなり透明度が高いインクになっています。
コピックのインクは、一部を除き、染料と呼ばれるものすごく小さな色の材料、粒子をアルコールに溶かしたものなのです。
これを塗ると紙の中に染み込んで、紙の持つ色と合わさることで初めて発色します。
コピックのインクは紙に染み込む、
塗るではなく「染める」
些細な考え方の違いですけど、こう頭を切り替えると、格段にコピックを扱う腕は上がると思ってもらっていいです。
- 【性質その2】
僕がコピックを説明するとき、こう言わせていただきます。
コピックとは「乗算の画材」なんです
と。
乗算とはデジタルで絵を描かれている方ならご存知だと思いますが、レイヤーの効果の名前です。
乗算にしたレイヤーは色が透けて、下の色の上にかぶさって、下のレイヤーの色と混ざる効果があるものですが、実はコピックもこれと同じような効果があると考えてください。
つまり
上に上に色を塗り重ねることで、紙の中で先に塗った色と混ざった色になります。
そして
塗り重ねれば塗り重ねるほど、どんどんと濃い色になって行きます。
同じ色のペンでも、一度塗りと二度塗りでは色の濃さが変わります。
違う色を塗り重ねる事で、紙の中で新しい色を作り出せます。
発売されていない新しい色も使い手の工夫次第で作り出すことができるのです。
コピックと紙の関係
- 紙に色がつく仕組み
先程の性質その2とかなり関係のある話なんですが、コピックで紙に色が付く仕組みを図解したいと思います。
コピックは紙に筆先をつけて擦る事で、染料と呼ばれる小さな色の粒がアルコールで溶かされたインクが紙に染みわたる事で色が付きます。
塗った後アルコールは数秒ほどですぐに乾き、しみわたった染料が紙に残り、紙に色がつくのです。
(コピックのR35の色で実際に紙に色をつけた状態)
以上がコピックが紙に色を付ける仕組みです。
- 紙は入れ物
コピックにとって紙とは、インク・染料を受ける入れ物・受け皿のようなものです。
なので、紙には
インク・染料を受け取れる限界値のようなものが存在します。
コピックは塗り重ねができる乗算の画材ではありますが、塗り重ねる事が可能な回数に限界があるということです。
この紙の限界値は、紙の分厚さや性質、ケント紙や水彩紙などの種類によって、全て違います。
コピックはそれぞれ含まれている染料の濃度・量が違い、紙の種類によっても限界値が異なるため、「何回まで重ねられる」と一概には言えませんが、塗り重ねる紙の表面がテカり出したら、染料が紙の表面から下に入れず、溢れている状態だと思っていただいて差し支えないです。
(塗り重ね過ぎた場所で染料が溢れ、テカリが生じた状態)
これは紙を、紙でできたお皿と考えていただくとわかりやすいです。
図解すると
(紙はお皿のイメージ)
(コピックで色を付けるとは、インクをお皿に注いでいるということです)
(注ぎすぎるとあふれ出ます)
また、その状態になる頃には、
「紙の裏からも溢れている」
という事です。
(塗った箇所を裏側から見た状態)
紙の種類によっては、このお皿が深かったり浅かったりします。
どのくらい色が入るか、どのくらい色を重ねられるかどうかは、このお皿の大きさ次第なのです。
塗り重ね回数と紙の実験は、いずれこのブログでも扱ってみたいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は失敗しないための基礎知識として、コピックの性質と紙の関係を書かせていただきました。
コピックとは
・染める画材
・乗算の画材
コピックと紙の関係
・紙はインクを受けるお皿
これを是非覚えておいてください。
じゃあ具体的な方法はどうするか、ということですが、この記事に追加するか、あるいは次回の記事で今回のことを踏まえて解説してみたいと思います。
よろしくお願いします。
コピックって何?
塗り方のコツとか色の選び方など、具体的な使い方の前に、
「コピックって聞いたことあるけど一体何?」
っていう方のためにコピックについて書いてみたいと思います。
コピックとは?
.Too マーカープロダクツさんという会社が作っている、1本で2種類のペン先が使えるアルコールインクのカラーマーカーです。紙にイラスト描いて色を付けるための、
つまり「ペンタイプの画材」です。
全358色もあり、おそらく日本で手に入るマーカーでは一番色数が多いマーカーではないでしょうか。
(引用元 https://copic.jp)
どんな種類がある?
実はコピックには種類が3種類あります(他にもあるのですが、今回はこの3種類で)。
写真上から
四角くて角ばったデザインのコピッククラシック
楕円柱の形のコピックスケッチ
円柱でころころ転がっていきそうな感じのものコピックチャオ
というふうになっています。
それぞれ見ていきましょう。
・コピッククラシック
角ばったデザインが印象的のコピッククラシックは、実はコピックの中では一番歴史が古いものになります。今ではコピッククラシックと呼ばれていますが、一番最初にコピックとして販売されたのはこのコでした。
着いているペン先(コピックではこのペン先を「ニブ」と呼びます )は教科書に赤線ひいたりするマーカーのようなものと、ちょっと固めで細いニブの2種類です。
もともとはプロダクトデザインといって、企業が製品を作る前にデザインを考える段階で、紙にコピーしたデザインに色を付けるために「コピーのトナーを溶かさないもの」というコンセプトで作られたプロダクトデザイナー用のもので、今みたいなイラストを描くためのものではなかったんですね。(レーザープリンタでコピーされた線は本当に溶けないです)
プロダクトデザイン向けですが、あえてクラシックを使ってすごいイラストを描いている人もいます。機会があればいずれブログでも紹介させていただきたいと思います。
・コピックスケッチ
楕円の形が手になじむ感じのコピックスケッチは、コピッククラシックをイラスト向けにしようという形で作られたもので、イラストを描くうえで使いやすいペン先が付いています。
片方はクラシックと同じですがややクラシックより幅が細いニブと、もう一方は色が塗りやすい筆のような形のブラシニブになっています。
コピック使いがコピックって言った場合、だいたいこれのことを言っています。
多くの漫画家さんやイラストレーターさんが使っているのもこのコピックスケッチです。
・コピックチャオ
最後にコピックチャオ。円柱で転がってしまいそうな(転がらないよう突起があります)印象のコピックです。
コピックシリーズの中では一番最後に出たコピックで、これから初めてコピックを使う人のためのエントリーモデルとして発売されました。
特徴はほぼコピックスケッチと同じなのですが、ペン自体が他の物より細くてキャップに色の番号が書いていないのが特徴です。
コピックスケッチに比べて細いため、複数本手に持って、持ち替えて塗るのに適しています。
つまり塗るのと逆の手がこういう風になるって事ですw
また、かさばらないため、持ち運びもしやすいです。
以上が3種類のコピックの特徴となります。 付け加えるなら、3種類のコピックはそれぞれ販売されている色の数が違います。コピックスケッチが最大358色、コピッククラシックは全214色、コピックチャオが全180色となっています。3種類に共通の色もあれば、スケッチでしか出ていない色もあります。
お値段はクラシックとスケッチが380円(税別)、チャオが250円(税別)となっています。全色揃えたい!というワイルドな方は、是非スケッチから買い始めていただいた方がいいでしょう。
コピックの良いところ
・面倒な準備が要らない
僕は前にカラーインクを使っていて、紙が縮まないようにあらかじめ水で濡らして板に張り付ける「水張り」という作業をやらないといけなかったんですが、コピックはその必要がないので、水を用意したり筆を洗ったりといったのが嫌いなめんどくさがりな人に向いてる画材と言えます。
・すぐ乾くので仕上がりが早い
インクがアルコールなので、数秒で塗ったアルコール分が蒸発して、仕上がりがすぐ分かるっていうのがポイントです。たくさん色を塗らない簡単なイラストなら「あっ」という間に完成!というのも魅力です。
・画材屋さんだいたいならどこでも売っている
人気のある画材なので、だいたいどの画材屋さんでも置いています。(よっぽど小さい画材屋さんだとない場合もありますが。。。)
画材は無くなった時にすぐに買えるかどうか、と言うのがとても大事で、遠くまで行かないと買えないような画材だとそれだけでマイナスポイントと言えますが、コピックは取り寄せないと買えないっていうこともなく、某森林の通販でも買えるので手に入らなくて困る、ということはないです。
・繰り返し使える
たまにインクがなくなったコピックを捨ててしまうという方がいらっしゃると聞くのですが、実はコピックはバリオスインクという詰め替えインクが存在します。(バリオスインクとその詰め替え方に関してはこちらの記事で触れています→ https://yous-copic.hatenablog.com/entry/2019/07/14/025351)詰め替える事で何度も使えるようになっているので初めこそちょっと高いかなって思っても、使い続けるとランニングコストは安くなるように考えられている画材です。
追記:どうも「コピック 捨て方」といったワードで検索されてらっしゃる方がいるようですが、もしこの記事にたどり着いてここまでお読みいただけたなら、絶対に捨てないで、繰り返し大事に使ってあげてくださいね! いやそれでも捨てる!とおっしゃる方は、扱いとしては不燃ゴミの分類に入りますので、地域ごとに決まった所定の日に分類して捨ててください。
プラスαで。。。実際に描いていく上での利点として、
・使っている人が多いため手本にできる人がたくさん居たり、また教則本やメイキング本などの種類がたくさんある
プロアマ関係なく、コピックを使ってイラストを描いている人が本当に多く、ちょっと探せば塗り方を解説してくれるブログやYoutubeなどの動画、TwitterなどSNSを利用してそういう発信をしている作家さんを簡単に見つけることができます。デジタルが主流な時代であってこれは大変すごいことです。
Twitterですと、コピック会議さん( https://twitter.com/copicwe )というアカウントをフォローしていただくか、もしくは「#コピック会議」「#コピック」というタグを是非検索してみてください。コピックに関するいろんな塗り方・情報をプロアマ関係なくいろんな人が発信していて、知りたい情報や自分の好みの塗りをする作家さんがすぐ見つかりますよ♪
最後に
今回はまず「コピックとは?」をコピックの製品的特徴の面から書いてみました。
今の時代はパソコンで描くデジタルイラストが主流で、紙に絵を描こうと思う人がなかなかいないんじゃないかなと思います。「それでもやってみたいな」って思う人がいたら、前章で書いた理由からコピックはすごいおすすめです。
手軽に温かみの感じられる世界でたった一つのイラストを描くことができますよ。
今回は導入という事でかなりコピックについて書いてしまいましたが、別に僕はコピックの中の人というわけではなく、あくまでコピックに魅せられた絵描きの一人です。記事を読んでくれる人に少しでもコピックが面白いなと思ってもらえるよう、またこんな塗り方あったのかって思ってもらえるようなことを頑張って書いていこうと思いますのでよろしくお願いします😌
ここまでお読みいただきありがとうございました😊
コピックブログ始めました♪
初めまして
ゆうす湖と申します。
普段は主にコピックを使ったイラストを制作して活動しています。
もうコピックを使い始めて5年くらいにはなるんですが、このブログでは使っていく中で気づいた事や、これを知っていると面白いといった小ネタ、イラストやちょっとしたもののメイキング、僕の教える塗るコツなど主にコピックに関することを記事にしていこうかと思っています。
これから始める人、使い始めた人が
「何色から買ったらいい?」
「こういうのを描くにはどうしたらいい?」
といった、自分がつまずいたり困ったことでほかの人が困らないようにするためのこと、それから
「そもそもコピックって何?」
「デジタルは使うけど、アナログは一つ戻るが使えなくて怖い」
といった、使ったことが無い人や、使うのに抵抗がある人でも使ってみようかなと思ってもらえることを目標に記事の作成を頑張ろうと思います。
よろしくお願いします。
ゆうす湖